第108回(1992年)芥川賞受賞作品 ★☆☆
民話の現代版。と素直に読めばよかったです。この意味は・・・と考えてしまい、文庫本の解説にその答えを求めたところ、「異物の存在を見えない存在としてしまう共同体の強さを描いた作品」。
言われてみればそう読めるけど、あまりにも異物の「犬男」が強すぎて「見えない存在にしてしま」ってるように感じませんでした。団地や「ご近所」という共同体は確かに異物を排除する力はあるのだろうけれど。。
同時収録の『ペルソナ』の方がストレートに入ってきました。
異国で生活する日本人が、周囲の日本人や現地の人々がそれぞれ自国に固執するあまり他国を差別的に見ることもあるなかで、自分のアイデンティティの示し方を模索する様に、新しい共同体の中に入っていく時の「自分の立ち位置」をどう置くかといった悩みとの共通点を感じました。