あんのよしなしごと

三谷幸喜さんの作品の感想、本の感想、映像作品や音楽の感想などをつづったブログです。

『エロマンガ島の三人』 長嶋有

 

エロマンガ島の三人 (文春文庫)

エロマンガ島の三人 (文春文庫)

 

 

「エロマンガ島に行ってエロマンガを読む」という冗談みたいな企画がゲーム雑誌で通ってしまい、3人の男がエロマンガ島に行き、帰ってくる話。

3人の男はそれぞれに日本に気がかりを残していて、短い滞在期間で現地の人たちと関わるうちに・・・。

どんな旅でもそうかもしれないけれど、行く時と、帰ってきた時はほんの少し自分が変わっていることに気づく。

相変わらず、行動描写で細やかな心の動きを表現する上手さは長嶋作品らしい。

でも、読後感は吉田修一作品に似ていた。登場人物へのまなざしは決して冷たくはないのだけれど、どこか客観的に突き放しているようにも感じた。

併録されている4編も含め、長嶋作品としては異色作。「異色作品集」と銘打たれているのも納得。