源氏物語には、もともと「輝く日の宮」という巻があり、それが何らかの理由で削除されたという説があるようです。
主人公である国文学者・安佐子が、失われた巻の謎解きに挑みます。
―という小説だと思って読み始めたのだけど、最初は源氏物語とは全く関係ない内容が続き、戸惑いました。
現代の話なのに文語調の文体も、独特の雰囲気。
中盤から源氏物語に繋がってきてからは、ライバル研究者とのやりとりなど面白く、のめりこんでいきました。
サイドストーリー的な、主人公の恋愛物語はいったい意味があったのだろうか。。。と思っていたところ、このストーリーの二重構造は、源氏物語の
武田宗俊は阿部秋生の仮説を『源氏物語』第一部全体に広げ、第一部の巻々を紫上系・玉鬘系の2つの系統に分類し、
(中略)
『源氏物語』第一部はまず紫上系の巻が執筆され、玉鬘系の巻はその後に、一括して挿入されたものであるとした。
(Wikipedia 「源氏物語」より)
という構造に沿っているのでは?という見方を指摘され、なるほど〜と思いました。