あんのよしなしごと

三谷幸喜さんの作品の感想、本の感想、映像作品や音楽の感想などをつづったブログです。

【読書感想】『レインツリーの国』 有川 浩

 

レインツリーの国 (新潮文庫)

レインツリーの国 (新潮文庫)

 

 

好きだからこそ、傷つけあっても彼女の殻を壊したい

好きな小説が同じだったという共通点で、ネットで出会った二人。

メールで意気投合し、実際に会ってみたくなった彼に対して、コミュニケーションに関わるとある事情を抱えていた彼女がその事情を隠してリアルのコミュニケーションに踏み出したら・・・?

彼女が、事情を隠して会いたい気持ちはすごくよくわかります。バレなければ、普通の女の子でいられる。

自分は普通とは違うと散々思わされてきた彼女にとって、普通であることは一つの理想の自分だから。

でも、彼にはバレてしまう。そして彼は気にしないという。

彼女は自分といると彼も一緒にいやな思いをさせてしまうと彼を遠ざけようとしたり、彼に自分の苦しみはわかるはずがないと、何とかして彼女と分かり合いたいと思う彼を傷つけるようなことも言います。

そんな彼女の殻をこじ開けようとする彼の、直球ど真ん中、時には暴投ともいえるアプローチに彼女はどう応えていくのか・・・

お互いが深く想いあっているこそ、ぶつかっても傷つけあっても向き合い続けるふたりはどうなるのでしょうか? 読んでいてやきもきしながらも、彼のストレートな愛情にあっぱれです。