マティス、ドガ、セザンヌ、モネ。
美術の教科書に出てくる有名な画家で、展覧会があれば、美術館は行列となる。
私たちは、彼らが描いた風景画や人物画を「作品」として鑑賞する。
そこから一歩、画家が描いた作品の世界に入ってみることができるとしたら?
作品に描かれた風景その場所に行ったり、描かれた人物の生活を目の当たりにすることができたら?
本作は、そんな体験をさせてくれます。
画家と交流のあった女性にスポットが当てられ、彼女たちから見た画家の姿が描かれています。
彼女たちから見た画家の姿は、そこに生きている人間そのもの。
そして彼女たちの日常が画家によって作品になっていく。
今その作品が美術館に鎮座しているということと、彼女たちの「日常」とのギャップの大きさが何とも言えません。
そして、本作に登場する実際の作品を、無性に観たくなりました。
マティス 『生きる喜び』
ドガ 『障害競馬――落馬した騎手』『十四歳の小さな踊り子』
セザンヌ 『タンギー爺さん』
モネ 『睡蓮装飾画』
これらを見るとき、背後に存在した「日常」を感じて、より一層作品を楽しく鑑賞できるように思います。