あんのよしなしごと

三谷幸喜さんの作品の感想、本の感想、映像作品や音楽の感想などをつづったブログです。

【読書感想】『ジヴェルニーの食卓』 原田マハ

 

ジヴェルニーの食卓 (集英社文庫)

ジヴェルニーの食卓 (集英社文庫)

 

 

マティス、ドガ、セザンヌ、モネ。

美術の教科書に出てくる有名な画家で、展覧会があれば、美術館は行列となる。

私たちは、彼らが描いた風景画や人物画を「作品」として鑑賞する。

そこから一歩、画家が描いた作品の世界に入ってみることができるとしたら?

作品に描かれた風景その場所に行ったり、描かれた人物の生活を目の当たりにすることができたら?

 

本作は、そんな体験をさせてくれます。

 

画家と交流のあった女性にスポットが当てられ、彼女たちから見た画家の姿が描かれています。

彼女たちから見た画家の姿は、そこに生きている人間そのもの。

そして彼女たちの日常が画家によって作品になっていく。

 

今その作品が美術館に鎮座しているということと、彼女たちの「日常」とのギャップの大きさが何とも言えません。 

そして、本作に登場する実際の作品を、無性に観たくなりました。

 

マティス 『生きる喜び』

ドガ 『障害競馬――落馬した騎手』『十四歳の小さな踊り子』

セザンヌ 『タンギー爺さん』

モネ 『睡蓮装飾画』

これらを見るとき、背後に存在した「日常」を感じて、より一層作品を楽しく鑑賞できるように思います。