三谷幸喜作品と本の虫★あんのよしなしごと

三谷幸喜さんの作品の感想、芥川賞受賞作品を中心とした本の感想、映像作品や音楽の感想などをつづったブログです。

恩田 陸『蜜蜂と遠雷』

 

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

 

第156回(2017年)直木賞受賞作であるとともに、2017年の本屋大賞でもある本作。
作者の恩田氏は、『夜のピクニック』で2005年の本屋大賞に輝いている。

この作品は、ある国際ピアノコンクールが舞台。
100名近い参加者が、第一次予選、第二次予選、第三次予選を経て6名に絞り込まれ、本選に挑む。

  • 今まで全くの無名だが、巨匠の推薦状をもって参加する謎多き少年、風間塵
  • 幼い頃に天才少女としてデビューしたもののとある事情で表舞台から姿を消していた、栄伝亜夜
  • コンクール審査員の秘蔵っ子のマサル・カルロス・レヴィ・アナトール
  • 楽器店で働きながら「最初で最後」のつもりでコンクールを目指すことにした、年長者の高島明石

それぞれのバックグラウンドをもつピアニストたちは、どのような音楽をこのコンクールにぶつけ、そこから何を得るのか―。

 

ピアノの国際コンクールと言えば、ショパン国際コンクールや、チャイコフスキー国際コンクールなどで日本人の受賞者が出るとよくニュースになりますが、コンクールで何をするのかはほとんど知られていませんよね。

本作で描かれているコンクールは、浜松国際ピアノコンクールがモデルになっており、どういう過程でコンクールが行われていくのかを追体験することができます。

また、コンクールに参加する多くは二十歳前後の若いピアニストたち。
彼ら彼女らが音楽に賭けるひたむきさや、コンクールの場でお互いの音楽に刺激を受け合い切磋琢磨していく様に青春の瑞々しさを感じます。

 

コンクール参加者たちは実在の様々なクラシックの曲を演奏します。聴覚で味わう音楽を文章である小説で描くというのはとても難しいことだと思うのに、音楽を奏でるということは単に音の羅列を出すというのではなく、情景や感情、世界観を表現するものだというのがよく伝わってきました。

 

本作の楽しみ方として、1回目は文章に没頭して読み、2回目は演奏されている曲を聴いてみてから該当する箇所を読み、登場人物たちの演奏に想像を膨らませるのも良いかと思います。

少しでも楽器をかじったことがある人、クラシック音楽を聴くのが好きな人には特におすすめです。

 

 ▼作中で演奏された曲が聴けます

『蜜蜂と遠雷』ピアノ全集[完全盤](8CD)

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