出演:筒井道隆、 酒井美紀、 伊原剛志、松重豊、 梶原善、 阿南健治、温水洋一、本間憲一、大倉孝二、瀬戸カトリーヌ、松金よね子、小日向文世
2002.2.23 シアター・ドラマシティ にて観劇
【あらすじ】
江戸幕末の浅草。写真師神田彦馬の写真館には、坂本竜馬や桂小五郎、近藤勇ら幕末の志士たちが写真を撮影しに訪れる。彦馬一家の目に映る、幕末の動乱とは・・・。
三谷作品では、「君となら」「笑の大学」に次ぐ面白さだと思いました。
「君となら」は面白さNo.1、「笑の大学」と「彦馬がゆく」は爆笑!といった面白さは「君となら」には及びませんが、そのかわりに感動があります。
私が幕末好きということもあるでしょうけれど、歴史の教科書で見る、日本を動かす数々の業績を行った人物の、写真館で写真を撮るというプライベートな場での行動(もちろん三谷幸喜が描くフィクションとしてだけれど)が微笑ましかったり笑えたり。
そして写真館一家の、大きな時代の転換期に次第に巻き込まれながらも、懸命に生きていくけなげな姿。
小日向文世さん演じる彦馬は、写真機の前に座る人には必ず、「人生で最も楽しかったときの事を思い浮かべてください」と言います(小日向さんのほのぼのした雰囲気が彦馬にピッタリでした)。
幕末の志士たちが思い浮かべるものは様々。中でも、ずっと写真機の前で笑顔を見せることをしなかった阿南健治さん扮する近藤勇が「死に場所が見つかった」と見せた笑顔は、切なすぎました。
後に三谷氏はNHK大河ドラマ「新選組!」でも幕末物を世に送ることになりますが、幕末という激動の時代の中で自分の生き方を模索する人々を描くという点で、「彦馬」は「新選組!」の前哨戦のようなものだったのかも知れません。