台本・作詞:グレッチェン・クライヤー 音楽:ナンシー・フォード
翻訳・上演台本:三谷幸喜 演出:G2
出演:戸田恵子/入絵加奈子 麻生かほ里 植木 豪/石黒 賢
2010年10月19日 大阪ビジネスパーク円形ホール にて観劇
【あらすじ】
歌手のヘザーは人気もやや落ち目。新しいショーの前夜、彼女は
長年の友人でもあるマネージャーのジョーに、リハーサルを見せる。
その日が39歳の誕生日だったヘザーは、このショーを、
これまでとは違う、新しい生き方を綴ったものにしたかった。
しかしそんな彼女の変化を受け入れることのできないジョー。
そしてふたりは・・・
(以下、ネタバレしてます。ご注意。)
1978年にオフ・ブロードウェイで初演された作品。
自立して生きよう、という女性(=ヘザー)の話。
自立した新しい生き方を貫くためなら、長年の仕事上のパートナーだったジョーと決別するというヘザー。
一方、浮気をし、それを夫に知られると夫に別れないでとすがり、別れるという夫をつなぎとめるため、自殺未遂まで演じてみせるジョーの妻。
二人の女性の選択を迫られたジョーの答えは、妻でした。
でもこれって、ヘザーの変化がジョーに受け入れられなかったというよりは、ヘザーの肩肘張った強がりの結果、という気もしました。
ヘザーがもう少し肩の力を抜けば、ヘザーはジョーを失わなかったのではないかなと。
男性の望むような女性像を演じて男性に依存することはやめたいというヘザーを、ジョーは戸惑いながらも理解したように思えました。なのにヘザーはジョーに、「そういう自分」と「ジョーの妻」の2択を迫ってしまった。
それは、初演当時の時代背景が影響しているのかもしれませんね。
また、中心となるテーマではないのでしょうが、「ショーは誰のものか?」ということも考えさせられました。
ヘザーは、自分の表現したいものをショーで見せたいという。
ジョーは、お客さんが望むものをショーで見せるべきだという。
ヘザーはやや落ち目。その彼女の再起を図る大切なショーを控えた、マネージャーのジョー。ジョーは、ヘザーの変化を受け入れられないという気持ち以上に、ショーをこれまでと違う内容に変えてしまうことで、お客さんや呼んだ記者の期待を裏切り、再起のチャンスを逃す結果になることを危惧したのではないかとも思いました。
そう考えると、ヘザーの頑な強がりはどうなんでしょう・・・。むむむ。
ということで、内容は結構ずっしりだったのですが、ショーのリハーサルを描いているということで、生バンドの演奏と歌、寸劇などのパフォーマンスはとても華やかで、楽しかったです。
円形劇場で舞台が客席と近く、ライブ感を存分に味わいました。