第144回(2011)芥川賞受賞作品。 ★★☆
以下、ネタバレを含むかもしれない感想ですので、本作品を未読の方はご注意を。
主人公の女性二人の遠い昔の記憶である「思い出」への想いを通して「時間の流れ」を描いた作品。
地球の誕生から現在という時間軸のスケールを登場させながら、20数年前の出来事という「思い出」を、「近くて遠い過去」という、人間が感じる主観的な時間軸として描いている。
人の心に訴える作品というよりは、この時間軸の扱い方のうまさに技巧的な作品と感じた。面白かったというよりは、うまいっという感想。
こういう構成の上手さを感じた作品を読んだなぁ・・・と思って思い出したのが、村上春樹の「風の歌を聴け」でした。