今や世界的指揮者である小澤征爾さんが、26歳の時に書いた本。
西洋音楽をするためには、その音楽の生まれた土地、人を知りたいと、24歳の小澤青年は、お金もなく、足として使うためのスクーター1台とともに貨物船に乗りヨーロッパへ向かいます。(当然ながら音楽家としては全くの無名)
そしてヨーロッパをスクーターで旅し、ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝し、その他のコンクールでも優勝、指揮者ミュンシュ、カラヤン、バーンスタインと出会い師事し、ニューヨークフィルの副指揮者に就任して、二年半後に凱旋帰国するまでの、自伝的エッセイです。
その道のりは決して順風満帆ではなく、様々なアクシデントに見舞われながらも、その行動力で乗り越えていったこと。
そして、小澤青年の当時そのままの生活、感情、家族への思いが何と瑞々しいこと。
読み終わって思ったのは、26歳の小澤青年の瑞々しさや軽やかさを、今の小澤征爾さんにも感じるなぁということです。
この瑞々しさや軽やかさが、小澤さんの音楽を特徴付けているのかなと思いました。