2012年の本屋大賞3位。
ヴェネチアにある、孤児を育てる慈善院、ピエタ。
『四季』などで知られる作曲家ヴィヴァルディは、ピエタの少女たちにヴァイオリン演奏などの音楽指導をしていた。
そのヴィヴァルディが遠くウィーンの地で亡くなったという知らせがピエタで暮らす教え子のエミーリアのもとに届く。
エミーリアは、ヴィヴァルディの一枚の楽譜の謎解きを始める。
謎解きを進めるうちに出会う、ヴィヴァルディとゆかりのある女性たち。
境遇も様々だけど、ヴィヴァルディの存在を鎹に打ち解けあい、助け合っていく。
それぞれのままならなかった人生を抱え、自分ができる精一杯のことをするだけ、という清々しい彼女たちを支えていたものは、一体なんだったのか。
愛、責任感、音楽・・・
読後にヴィヴァルディ作曲の『調和の霊感』を聴いた。
慎ましく力強く愛情深く生きた彼女たちの生きざまが、美しく昇華されていくようで、涙、涙。