真面目で几帳面な優等生で通ってきた。
クラスメイトが恋愛の話に花を咲かせ、放課後に街に出てお茶しようと言っていたとき、私は彼女たちを横目に見ながら、まっすぐ家に帰った。自分が思うことを素直に口にし、やりたいことをやっている彼女たちが羨ましかった。
他人からこうだと思われている「私」から外れることを恐れる気持ちと、そこから解放されて自由になりたい気持ちがせめぎあっている。
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『しずく』は、いろいろな形の「女ふたり」の物語。
幼馴染、おばあさんと若い女性、大人と子ども、旅人と地元の人、一緒に飼われている猫たち、母と娘。
彼女たちは、相手の女性を鏡として自分自身を見つめ、自分自身の呪縛から解放されていく。
私もまた、彼女たちを鏡とし、自分を解き放つ道を見つけられるような気がした。