ああ、この信繁の人生最高の日を最大限盛り上げるために、これまでの44話があったのですね。
信繁の大活躍を敵方として見守っていた上杉景勝、直江兼続主従の顔が驚きから笑顔に変わり、景勝渾身の「源次郎め、あっぱれな戦いぶりよ・・・! 日ノ本一の兵! 真田左衛門佐!!」の雄叫び!!!
もう、ここで涙腺決壊です。「日ノ本一の兵」を景勝様に言わせるなんて・・・!
一時期ともに過ごし、息子のように可愛がっていた源次郎が、その後自分の許を離れて秀吉に仕え、関ケ原で敗れ九度山で幽閉生活を送り、そして自分はできなかった「義」を貫き通して見事な戦いを見せる。
真田家のメンバー以外で唯一、源次郎その人のことを気にかけ、見守ってきた「心の味方」が上杉主従だったと思うのです。
この上杉主従が、源次郎がついに大きなことを成し遂げた場面を直に見て嬉しさを体いっぱいに表現している、この関係性に心打たれます・・・。
脚本の巧みさに脱帽
かつて第一次上田合戦の際、信繁が相手を挑発するために旗を振りながら謡った「高砂」。それを初陣の息子・大助が行うことで、当時のことも思い起こされるとともに、あれからいろいろあったなぁ、と時間の経過を感じます。
また、信繁の策がすべて上手くいき順調・・・と思わせて、味方のピンチがあり、それを別の味方が救うという流れは一層見る側を戦の行方にのめりこませます。
そして全体として勝ち戦の高揚感。
オチとして、信繁が木村重成にだけ語った「自分もここまでの大戦は初めてで緊張しまくった」という告白は、戦の緊張感を弛緩させるコメディ要素で三谷さんならでは。
その他にも、徳川方についている豊臣恩顧の面々の想い、お兄ちゃん(信之)の困った様子、稲姫とおこうさんの対比、茶々の秀吉の陣羽織姿など、登場人物一人ひとりがそれぞれの想いをもって行動していることがわかり、一人一人が「その時」をしっかり生きていて素晴らしいドラマだなと思います。
今回は何回でも見返したいです。