あんのよしなしごと

三谷幸喜さんの作品の感想、本の感想、映像作品や音楽の感想などをつづったブログです。

大河ドラマ 真田丸 50話(最終回)感想:漢字2文字のタイトルは「希望」かな・・・

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夏の陣でさえ、豊臣は勝てる戦だったのかもしれない。

それなのに徹頭徹尾、豊臣の弱点は内部にあり、信繁も最後の詰めが甘かった。
秀頼よ、なぜ大蔵卿局のことを信じてしまうのか・・・
大野修理よ、秀頼の馬印がとても重要とわかっておきながら、なぜ大坂城に秀頼を呼びに行くときに持って帰ったのか・・・
信繁&佐助よ、なぜ与左衛門にとどめを刺しておかなかったのか・・・!

このやるせなさに身もだえしながらがらも、一年間「真田丸」を彩ってきた登場人物一人ひとりの物語が次々に「決着」していく流れに、哀しさや寂しさとともに「物語」として着地点に収束していく清々しさのようなものも感じました。

(余談:「ダメ田十勇士」が、まさか本編に出てくるとは・・・)

茶々

茶々を無駄に取り乱させる信繁はいかがなものかと思いますが、信繁が家康と刺し違えるつもりと察してそれでも信繁が言う通り「生きる」ことを決意したとき、茶々は呪縛から解き放たれたのかもしれません。

大坂城が落城しても、茶々は秀頼と最後まで「生きる」ことの希望を捨てなかったのだと思います。

大助

父と離れたくない、という息子の思いが痛いほど伝わってきました。
茶々が信繁の言葉である「望みを捨てぬ者だけに道は開ける」と言ったとき、父・信繁の大きさを実感したことでしょう。

三十郎

「源次郎様いるところに三十郎あり」と笑顔だったあの日。

戦場で敵味方として出会ってしまった二人。信繁に斬りかかった三十郎は、信繁に斬られることを覚悟し、望んだように思います。
けれども信繁は応じなかった。「小物に構うな」と味方にいうことで、三十郎の命を助けた。
徳川の本陣に突っ込んでいく信繁の背中を見送りながら叫んだ三十郎の「源次郎様ぁ!」の叫びは二人の悲しい別れを表していました。

内記と作兵衛

真田を支え、最後まで必死に戦った二人。

内記は真田昌幸の位牌を抱え、作兵衛は自ら耕した畑の上で、妹や姪を思いながら。

家康

初回で信繁が家康軍の偵察に行って逃げ帰ってきた因縁は、単身乗り込んだ信繁との一対一の対峙で決着を迎えました。

来し方を想えば家康は「伊賀越え」の醜態をさらした武将から天下人として成長し、信繁は一介の武田の家臣の息子から、豊臣方の大将になり。

ここで家康が逃げも隠れもせず、馬上筒を構える信繁に向き合い、戦国の世が終わったことを語りかける姿に天下人の大きさを感じずにはいられませんでした。

寧様と片桐さん

かつて秀吉の側で大坂城の中枢にいたこの二人が、豊臣家から離れ、豊臣の栄華を「夢のまた夢」という。

静かな二人のたたずまいからにじみ出る深い悲しみははかり知れません。。


信繁

信繁が切腹の際に取り出した六文銭。これはかつて上田城合戦の際、信繁の妻・おうめちゃんからお守りとして受け取ったものでした。

これを三途の川の渡し賃として・・・

最期に信繁が思ったのは、秀頼や茶々、息子の大助、千姫を連れて秀忠の陣に向かったきりちゃん、春ちゃんや子どもたち、ともに戦った仲間、徳川方にいる甥っ子や三十郎、娘のすえ。

信繁が愛した大切な人々を想うその微笑みは、慈愛に満ちていて・・・


最期を見せない演出

信繁の最期は見せない演出でした。秀頼も、茶々も、きりちゃんも、作中ではどうなったかは描かれませんでした。
実際はどうなったのかは「紀行」にゆだねた形で、物語としては余韻を残してよかったと思います。

そして、信之(信幸)を乗せ、真田一族の舟、「真田丸」は続く・・・

この物語のラストは、同行していた本多正信にもたらされた「大坂からの火急の知らせ」にすべてを察し、六文銭のお守りを手にして涙ぐみながらのお兄ちゃんの「まいるぞ」でした。

父も弟も失い残った真田一族の舟「真田丸」は、これからも信之を乗せて前に進んでいくのですね。 

 

2016年の大河ドラマが三谷幸喜さん脚本×堺雅人さん主演の『真田丸』だとわかってから2年数か月。この一年は本当に楽しませていただきました。

また大坂の陣になって幸村を名乗り始めてからは堺雅人さんに男っぽい猛々しい雰囲気が加わり、また新しい堺さんのカッコよさを見つけられました。

三谷さん、堺さんはじめキャスト、スタッフの皆さん、素敵な大河ドラマをありがとうございました!