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三谷幸喜作品と本の虫★あんのよしなしごと

三谷幸喜さんの作品の感想、芥川賞受賞作品を中心とした本の感想、音楽やハンドメイド関連などをつづったブログです。

大河ドラマ 真田丸 25回「別離」 感想:「公」と「私」の二面性

三谷幸喜 映画・テレビ 真田丸

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利休の「業」

商人であり、金で人の心も操る利休の「深い業」。それがために利休は茶を点てる。
利休の「業」が点てた茶を飲んだ源次郎は、利休の業を取り込んでいきました。
源次郎は、どれだけの人の「業」を背負っていくのでしょう。

(何回目かの)茶々は怖い

利休を切腹に追いやった決定的なものは、実は茶々がもたらしたもの。
本人が無自覚のうちに周囲を不幸にする茶々。
ついに愛息、鶴松まで失ってしまいました。

きりちゃんは茶々の怖さをよくそれがわかっています。
きりちゃん、どうか源次郎を守ってください。
(さりげなく秀次にプロポーズされていましたが・・・)

三成の「佐吉」としての想い

公的な役割と冷静に全うする「三成」と、私的な想いで秀吉、鶴松のことを案じる「佐吉」。

鶴松の身を案じて九州から駆け付けた加藤清正に「願掛けで水垢離をする、一緒にやろう」と誘われ、最初は冷たく断った三成。
ですが、後で清正のもとに行き、一心に水垢離を始めました。
このときの三成は、「佐吉」としての想いを優先させたのでしょう。
公に徹しきれない三成の人間らしさが好きです。

冷静に情勢を読む徳川家康、真田昌幸

鶴松の見舞いと駆け付け豊臣の内部事情を探ろうとし、鶴松亡き後の豊臣の弱体化を冷静に読む二人。
豊臣家の外の大名たちの冷静さと、豊臣家の中の鶴松を案じる熱い気持ちとの温度の違いに、「三成」と「佐吉」とはまた別の「公」と「私」の二面性を感じました。

信濃パートはホッとする

悲しみと政治的思惑が錯綜する本筋は肩に力が入ってしまうので、信濃パートの笑いは
本当に救いです。

信幸が隠し扉にはまってしまったり、仏頂面の小松姫を笑わせるために「こしょこしょこしょ」と言いながらくすぐってたり、それでも笑ってくれない小松姫に落ち込んだ信幸が思わずおこうさんのところに行ってしまうところとか。

上田についた小山田茂誠がお松姉さんと再会しておばば様に挨拶するシーンも。

天下の動きとは別に、こういう幸せな出来事も同時に起こっているのが歴史なんですよね。

【読書感想】『羊と鋼の森』 宮下奈都

書籍・雑誌

ピアノの調律師という仕事は、なんて素敵なんだろうと思った。

17歳の外村少年に唐突に訪れた、一人の調律師との出会い。高校の体育館にあるなんでもないピアノが調律師の手によって「森の匂い」がする音を出す。そして、調律の様子に心を奪われる。

その音に導かれ、ピアノにも音楽にも無縁だった青年が、調律師となる。

仲間の調律師たち。一般家庭の調律でも、お客さんの要望に真摯にこたえる先輩もいれば、お客さんの「ピアノの実力」以上に精密な調律はせず、一律に済ませる先輩もいる。

調律を頼むお客さんもいろいろ。でも一般家庭でわざわざ調律を頼むということは、「これからピアノを弾こうとしている」という未来志向の表れ。そう考えると、調律師という仕事は、ピアノと、それを弾く人や家族の新しい未来のきっかけを作っているともいえる。

そういえば私の実家のピアノも、母が毎年調律師に調律してもらっている。私が小さい頃に買った時からずっと同じ調律師の方。最初は調律師になりたての若者だったその方は、今ではすっかり大ベテラン。実家のピアノはもうほとんど弾かれないのだけれど、変わらず毎年調律師さんに調律をお願いする。その母の行為は、未来に何かをつなげようという意思なのかもしれない。

調律師になった外村が調律師ととして最初に先輩の付き添いで訪れた家庭で出会ったのは、10代の双子の姉妹。才能ある彼女たちのピアノ。

師や先輩に素直に聞き、お客さんの反応にもしっかりと向き合い、地道に努力を積み重ねていく外村青年。

試練に向き合いながらも、ピアノに真摯に取り組む姉妹。

外村青年と姉妹の成長の過程が、ゆっくりと、でも着実に感じられて清々しい読後感。

ところでタイトルについて。羊は、ピアノの鍵盤から繋がり弦を打つ(音を出す)ハンマーのフエルト。鋼はピアノの弦。そして森は、音を生み出すピアノそのもの、ということみたいです。

 

羊と鋼の森

羊と鋼の森

 

 

 

大河ドラマ 真田丸 24回「滅亡」 感想:ついに戦国時代が終わった

三谷幸喜 映画・テレビ 真田丸

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憑き物が落ちたような北条氏政

源次郎の決死で冷静な説得と、戦況を知った氏政は、ついに降伏を決断。
(というか、他の城はほとんど落ちたことは、知らなかったのかしら)

その後の氏政は、白塗りの化粧も落として憑き物が落ちたようで、すっきりと、そしてこれまでで一番凛々しく格好良く見えました。。

徳川、上杉、真田の説得

死ぬつもりでいる氏政に、生き延びよと説得する家康、景勝、昌幸。

これまでしのぎを削って戦ってきた彼ら。これまで、ドラマの中で彼らの間で起こった出来事を思い返し、そしてその彼らが一堂に会して穏やかに話をしている奇跡のような光景に、涙がこみ上げてきました。

皆、秀吉に心までささげたわけではない。でも、今はじっと我慢するとき。
いつかまた敵になり味方になり、華々しい戦ができるかもしれない。
そんな時のために、氏政という人物は必要。

戦友としての情けももちろんあるけれど、秀吉になかなか下らなかったというだけで失うには惜しい人物という思いが、家康、景勝、昌幸にあるのではないかと思いました。


そして説得もむなしく切腹した氏政。最後に、いつもと異なり食べたい分だけ汁をかけるのではなく、一気に汁をかけ、すする姿がとても印象的でした。

それにしても、氏政説得の場に控えていた本多正信、直江兼続、源次郎の、それぞれ主君との絆を感じさせる会話が楽しかったですね。
兼続が「お館様が妙な約束などしていないか心配」と言っていて、景勝が戻ってきて兼続な何も言っていないのに「何も約束していない」と言った時、その以心伝心ぶりにうれしくなりました。

伊達政宗

秀吉に忠誠を示すべく宴席を設けた伊達政宗。秀吉をおだてるようにずんだ餅をつき、笑顔でもてなす正宗に、家康も昌幸も、小物ぶりにがっかりした様子。

けれども政宗だって悔しかった。

戦国のど真ん中の時代なら、もっと暴れられたのに。
これから力を発揮しようかという年になって、戦国の世は終わってしまった。

戦をしたかったという政宗ですが、同い年の源次郎はそうは思わないと答えました。
これが後の伏線になるのでしょうか。

三成、昌幸門下に!?

三成は、小田原城が開城しても忍城を落とせません。
三成の真意は、犠牲者を少なくするためでした。

それを知った昌幸は、三成の嫌いな卑怯な手を使って敵の戦意を失わせ、城を2日で開城させると提案します。

それは、氏政の無傷の兜を城内に持ち込み、氏政は命惜しさに味方を裏切って秀吉に降伏したという噂を流すというもの。

打つ手がない三成は昌幸に任せたところ、見事に2日で開城させました。さすが表裏比興の昌幸。

三成は、卑怯は好かぬといいながらも、戦の何たるかを教えてほしいと昌幸に乞います。

プライドが高そうな三成なのに、この素直さがとてもステキでした。昌幸もまんざらでもなさそうで、これこそ、関ケ原を巡る伏線になっていそうです。


お義兄さん

北条の家臣になっていたお義兄さん。まつ姉さんが生きているとしって大喜び。
無事に上田に戻ってきてください・・・