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三谷幸喜作品と本の虫★あんのよしなしごと

大河ドラマ「真田丸」をはじめ、三谷幸喜さんの作品の感想、芥川賞受賞作品を中心とした本の感想、音楽やハンドメイド関連などをつづったブログです。

NHK大河ドラマ「新選組!」

2004年のNHK大河ドラマ。脚本は三谷幸喜氏。

大河ドラマとしては異色かもしれないけれど、これほどまでに熱く哀しく切ないドラマはない、傑作だと思います。
終盤は画面が見えなくなるほどの号泣の連続でした。

全般の感想に変えて、32話、33話を見た当時の日記を記載します。

2004.8.15

今日の「新選組!」は、山南脱走の回。
見つかったら切腹になるとわかっていながら、脱走する山南さんにはそれほどの切迫感、悲壮感がない。
それは、脱走するとはいえ、新選組を大切に思う気持ちには変わりがないから、もはや全ての成り行きに身を任せる覚悟があったからだろう。
芹沢鴨のときは、鴨自身が死に場所を求めていたから、むしろ暗殺は鴨の本望といった感じだったけど、山南さんは本当はもっと大きなことをこれからもいっぱいやりたいと思っていたはず。でも自分にはそれをやる力がないと悟ってしまった。本当は力があるのに、無力感を感じさせる出来事が多すぎて、諦めてしまった。でも、諦め切れなかったところが、「脱走」なんだろう。
もし、追っ手にみつからずに江戸まで戻れたら、まだ自分には何かができるのではないだろうか、という「賭け」をして。
・・・江戸編のあまりにもほのぼのした時を過ごした試衛館メンバーの切腹、しかも近藤・土方がそれを命じるという、その哀しい運命に、8:30過ぎから泣きそうだった・・・来週はつらいなぁ。
ほのぼの江戸編を見返そうかなぁ・・・と思っても、かえって哀しくなりそう。

2004.8.23

「新選組!」、山南切腹の回です。
オープニングが始まる前、(形だけのつもりで)山南を追ってきた沖田を、山南が自ら呼び止めるシーンから、オープニングに入り、歌詞(いとしき友はいずこにこの身は露と消えても 忘れはせぬ熱き思い 誠の名に集いし遠い日を あの旗に託した夢を(あってる?))を山南の心境で聞いてしまって涙が出てしまい、泣きっぱなしで、その後も途中2,3回、ぶぁっとさらに涙が...

土方の号泣シーンには、完全にやられました。新選組という組織を背負ってしまったがゆえに、大切な友を死に追いやってしまった。そのやるせなさ、無念さと、単純に友の死を悼む気持ちとがぐちゃぐちゃになって、「鬼の副長」の仮面が完全にはがれてました。

明里と山南のやりとりもよかった。もはや二度と会えないことを理解したうえで、きっと会いに来てと約束させる明里。そして約束する山南。
富士山は次の折にとか、哀しすぎる。芹沢鴨とお梅の、「浪士組なんてほっといて、田舎でのんびり寺子屋でもやって」なんて会話を思い出す。
そんな未来はないとわかっていてもなお、そんな未来を思い描く心境というのはどういうものなのだろう。

何よりも、山南の堺雅人さんがすごい。完全に、ひとつの山南像を新しく作り上げたと思う。この役者さんが、次にどんな役をやって、どんな演技をみせてくれるのか、とても楽しみ。
(ヴァンプショウで生の堺さんを見たんだけど、あの時は佐々木蔵之助さんの印象が
強かったからなぁ。DVD買おうかな。)

2004.8.25

ネットでは、新選組!の山南切腹の回(第33回)で号泣した!という人、多数。
ただ泣いた!というだけでなく、ここにいたるまでの土方・山南の関係を分析したり、細かな伏線を解釈したりと、感想を書いている人の相当な思い入れが感じられた。もちろん全ての答えは三谷幸喜にあり、なんだけど、この何ともいえないやりきれなさを耐える手段として、自分を納得させる意味もあって、皆いろいろな解釈をしているのかなと。

そんななかで、「なぜ土方は池田屋以降、山南を第一線から遠ざけたのか」についてなるほどと思わせる分析があった。
それは、「土方は、山南の剣の腕は認めているが実戦向きではないと知ってしまった。それゆえ、山南を戦場で失いたくないために、現場から遠ざけた」というもの。

確かに、山南は土方も参加した芹沢鴨暗殺の際、温情をかけたために命の危険にさらされている(このときは佐之助に助けられている)。
また、第33回で明らかにされた、岩木枡屋(あってる?)(池田屋より前の出来事)で、危ういところを土方に助けられたという出来事がある。
道場ではおそらく土方は山南に負けるだろうが、戦場では土方の方が強い。
それを、土方は池田屋の時点ですでに知っていた。

一方で土方は、山南を必要としていた(これは土方本人も言っている)。
よって戦場で山南を失うわけには行かず、戦場から遠ざけることで山南を守ろうとしたと。(その最たるものが「総長」という役職だろう)

そして文武両道を自認していたであろう山南は自分の「武」の限界を知る。そして軍学を学んだ武田観流斎や、いかにも物知り顔の伊東甲子太郎の入隊により、「文」の限界も感じる。これにより、もはや新選組の行く末を、山南では左右することができないと自分で感じてしまったのだろう。
(「新選組はもはや手の届かないところに言ってしまった」と本人も言っている)

・・・これまで私は土方が山南を追い詰めるようなことをする理由がわからなかったけれど、これで納得した。もちろん「組織」を作ろうとする土方には山南の考えは違うと思うことも多々あったと思うけれど、土方は山南とずっと一緒にやっていきたいという思いが根底に流れていたのだと思う。
そして山南も、それを知っていたけれど、望んではいなかった・・・てとこかな。

 

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