読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

三谷幸喜作品と本の虫★あんのよしなしごと

大河ドラマ「真田丸」をはじめ、三谷幸喜さんの作品の感想、芥川賞受賞作品を中心とした本の感想、音楽やハンドメイド関連などをつづったブログです。

「グッドナイト スリイプタイト」感想

三谷幸喜 演劇

作・演出 三谷幸喜
出演 中井貴一 戸田恵子

2009.1.10 サンケイホールブリーゼ にて観劇

【あらすじ】
別れを決断したある夫婦。
波乱万丈のアクシデントがあったわけでもなく、沢山の「一日」を重ねてきた。
そんな日々の積み重ねに潜んでいた、ささやかな幸せと、ささやかなすれ違い。
時間をさかのぼりながらこの夫婦の日常を描くことで、別れに至るまでの様々な謎が解き明かされる。。。

サプライズとして、芝居の中で三谷さんが登場してリコーダーを演奏されました!

以下、ネタばれを含むと思われる、感想です。

見終わった直後の素直な感想としては、「面白かった!けど、切なかった。。。」と、「戸田恵子さん、中井貴一さんってすごいなぁ」です。

時間をさかのぼりながら進むお芝居だったので、二人が結婚を決める、最も幸せな瞬間で終わるのですが(三谷さんはこれを「ハッピーエンド」とおっしゃってますが)、30年後に別れることを知っている観客としては、別れるなんてありえないと思っている幸せな二人は余計に切なかったです。

今回三谷さんが描いた夫婦は、もちろんすべての夫婦に当てはまるようなものではないと思いますが、少なくとも「どこにでもいそうな」夫婦のありようだったのではと思いました。

基本的に、夫は自分中心で、妻は夫を支える。

戸田恵子さん演じる「妻」は、一見わがままで自由奔放そうだけれど、そして夫にはそうとしか見えないけれど、本当は「夫」に尽くしているのに、それを夫がわかってくれない寂しさを他のもので紛らわしている。
中井貴一さん演じる「夫」は、「妻」を愛しているのに、妻の表面部分をそのまま本心と受け取り、その妻の心の奥まで理解しようとはしない。

「妻」は、別れる最後まで、「夫」が自分にもう一歩踏み込んでくれることを期待していたと思います。そうしてくれれば、別れを撤回したのでは?とも思います。でも「夫」はそうしなかった。妻が何を望んでいたか、わかっていなかった。

夫婦といったって、所詮赤の他人、本当に分かり合えることはないし、どこかで割り切らないといけない。・・・頭ではわかっていても、「この人となら本当に分かり合える」と思いたいですよね。というよりも、そう思えたからこそ結婚するのかなと思いますし。

三谷さんが夫婦というデリケートな心の機微をテーマにされたのが新鮮な驚きでした。恋愛モノは苦手と以前何かでおっしゃっていましたし。
でも今回、妻の心がとても細やかに描かれていたように思います。
それと、決して夫優位にせず、いつまでも相変わらずな夫に対し、妻はその時々の辛い状況にもめげずに実にしなやかに成長していくという「女性の強さ」を描いたのには、三谷さんの女性に対する優しさを感じました。

あ、もちろん、夫婦のやりとりには大いに笑わせていただきました!戸田恵子さんの歌にも、「中井貴一ショー(?)」にも、お二人のダンスにも!
生演奏の演奏者の方々の芝居への絶妙な絡みも楽しかったです。

こういう「日常」を描きながら観ている人の心を揺さぶるのはとても難しいと思います。三谷さんの脚本と、「管鍵゛楽団」の生演奏と、戸田恵子さんと中井貴一さんの演技というすばらしく質の高いコンビネーションだからこそ可能なのだろうと思いました。

stage.parco-enta.com