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三谷幸喜作品と本の虫★あんのよしなしごと

大河ドラマ「真田丸」をはじめ、三谷幸喜さんの作品の感想、芥川賞受賞作品を中心とした本の感想、音楽やハンドメイド関連などをつづったブログです。

「恐れを知らぬ川上音二郎一座」感想

三谷幸喜作・演出

出演 ユースケ・サンタマリア 常盤貴子 浅野和之 今井朋彦 堀内敬子
    阿南健治 戸田恵子 小林隆 瀬戸カトリーヌ 新納慎也 小原雅人
    堺雅人 堺正章

2008.3.20 WOWOW放送にて

三谷氏初の「商業演劇」とのことで、三谷さんも商業演劇であることを意識したとのこと。三谷さんは、「商業演劇は、お客さんが"○○という役者が演じるXXという役"を観るのではなく、"XXという役を演じる役者○○"を観に来る」という話をされていました。

そういう三谷さんの意図を前提にすれば、なるほどこれは三谷さんなりの「商業演劇」を形にしてみたのだろうというお芝居でした。
(逆に言うと、そういう三谷さんの意図を知らなければ、三谷さんらしくない芝居であると戸惑ったことでしょう。)

というのは、舞台上にいるのは川上音二郎というよりはユースケ・サンタマリアさんであり、貞奴というよりは常盤貴子さんであり、つまり役ではなく「役を演じている俳優さん達自身」を見ている感覚がしたからです。

よく、三谷さんは脚本を書くときには、それぞれの役に具体的な俳優さんのイメージを想定する(「あて書き」する)と聞きます。

私が思う三谷さんの「あて書き」は、対象となる俳優さんの魅力の本質を引き出しつつも、やはりそれは「役」を魅力的にするためであると思うのです。

言い換えれば、別人格である「役の人物」と「俳優さん自身」の共通部分を強調することで、役の人物と俳優さんそれぞれの魅力を相乗効果で高めているとも思います。

そして観客はその「役」に魅了され、芝居の世界に没頭し、同時にその魅力的な役を演じた俳優さんをすばらしいと感じるのだと思っています。

けれども、今回の「恐れを知らぬ~」は、いつもの三谷さんの「あて書き」とは違っていて、まず俳優さんありきで、俳優さんの魅力を引き出すために、役の人物が作られていったのではないか、それが三谷さんなりの商業演劇なのではないかと思いました。

そう思うと、堺雅人さんが劇中劇でだんだらの羽織を着ていた(明らかに大河ドラマ「新選組!」で堺さんが演じていた山南を意識させる)のは、三谷さんの「商業演劇らしさ」の演出なのだろうと思えます。

個人的には、近作「コンフィダント・絆」のような三谷さんの真骨頂が見られるような芝居をもっと作ってほしいですが。。

 

 

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