※2021/4 リンク先等更新
三谷さんの舞台作品を見たことがないという方におススメの作品です。Blu-rayやDVDで観られるものをチョイスしました!
ただし古い作品は徐々に購入困難になってきています。そして近作はパッケージ化されておらず、、、WOWOW放映が中心になってきています。
※三谷さんのオリジナル作品ではないものは除きます
ただ笑うため!後に何も残らないコメディー『バッド・ニュース☆グッド・タイミング』
三谷さんの喜劇作家としての基本、コメディー。
しかも、笑いだけで後に何も残らない、純粋なコメディー。
笑おうと思って笑うのではなく、観ていると自然に笑い声が口から漏れてしまい、自分でも驚いてしまいます。
『バッド・ニュース☆グッド・タイミング』は、結婚式を数時間後に控えた花嫁(沢口靖子さん)と花婿(生瀬勝久さん)の結婚式までのドタバタ劇。
勘違いの積み重ねとすれ違い、三谷さんのシチュエーションコメディの要素をすべてつぎ込んだ作品です。伏線解決の面白さが満載、ち密な構成にも脱帽です。
※観劇時の感想はこちら
なおこのカテゴリでは他に1995年・97年の『君となら』や2014年の『酒と涙とジキルとハイド』があり、どちらもホントに笑いに次ぐ笑いで面白いです。
あいにく『君となら』は映像パッケージ化されていませんが、『酒と涙とジキルとハイド』はDVD化されています。
『君となら』は2014年に再演され、大いに盛り上がりました。
WOWOWで放送される時もあるかもしれないので貼っておきます。
片岡愛之助さん、優香さん、藤井隆さん、迫田孝也さんが出演しています。
※『酒と涙とジキルトハイド』の感想は こちら
笑いもありつつ、ぐっとくるストーリー『笑の大学』『コンフィダント・絆』
※『コンフィダント・絆』はPARCO劇場のSHOPにもありました
単独ではなく、「国民の映画」(2011)、「ホロヴィッツとの対話」(2013)も合わせた愛蔵版ですが・・・
三谷幸喜 芸術家三部作 愛蔵版― [ブルーレイ BOX] | PARCO STAGE SHOP
三谷さんの作品の中では、こういう作品が一番多いと思うので、選ぶのはとても悩ましいです。
『笑の大学』は、第2次大戦中の検閲官(西村雅彦さん)と芝居の台本の検閲を受ける喜劇作家(近藤芳正さん)との、1週間のやりとりを描いた二人芝居。
検閲を受けることで逆に面白くなっていく台本と、喜劇を完全否定していた検閲官と、喜劇作家であることを貫く脚本家の関係性の変化がとても面白いです。この脚本家に重ね合わせた三谷さんの喜劇作家の矜持のようなものも感じます。
※『笑の大学』の感想はこちら
『コンフィダント・絆』は、ゴッホ(生瀬勝久さん)、ゴーギャン(寺脇康文さん)、スーラ(中井貴一さん)、シュフネッケル(相島一之さん)という実在の画家をモチーフにしながら、無名時代の彼らが無名だからこそ一緒に頑張っていこうという仲間意識をベースに、「才能」に対する羨望、嫉妬、認められない苦悩、残酷さを描いています。登場人物それぞれを愛しく感じ、観た後は切なくなります。
※『コンフィダント・絆』の感想はこちら
構成の妙!『マトリョーシカ』
松本幸四郎さん、市川染五郎さん、松本紀保さんという親子共演の舞台。
【ストーリー】
ベテラン俳優(九代目松本幸四郎)が後継者を選ぶために、同じ劇団の若手俳優(市川染五郎)を招いて行なった極秘オーディション。2人のほか、ふとしたことからひとりの女性(松本紀保)もその場に居合わせることに。実は、このオーディションには幾重にも塗り重ねた秘密が存在した。どこまでが現実でどこからが芝居=虚構か?洒脱な会話に隠された荘厳ともいえる真実を知ったとき、客席は深い感動に包まれる。WOWOWオンラインより引用
内容があたかもマトリョーシカのように多重構造になっており、三谷さんの脚本の構成力にうならされます。
この構成に近いものがあるのが藤原竜也さん、中村勘九郎(当時は勘太郎) さん、吹石一恵さんの三人芝居『ろくでなし啄木』。こちらは、1つの出来事を三人それぞれの視点で描くことで、謎が解き明かされていく構造です。
笑いを封印?重厚なシリアスもの『国民の映画』
【あらすじ】舞台は1940年代のドイツ。ヒトラー内閣のもと、宣伝大臣のゲッベルスはすべての芸術とメディアを検閲する権利を持っていた。冷徹だが、実は無類の映画好きで、愛する作品は「風と共に去りぬ」。
そんな大臣がある日、映画人を招きパーティを開く。実は彼は、理想のスタッフ・キャストを使い、ドイツ国民が誇れる「国民の映画」を作ろうとしていたのだ。こうして、政治に映画人とナチス高官の、駆け引きと陰謀に満ちた、狂乱の一夜が始まる。
力になびくか、信念を貫くか、権力と芸術のはざまで揺れ動く人々のパワフルな群像劇が展開!(公演案内より引用)
マジョリティとマイノリティ、集団の怖さについて、考えさせられました。笑いはほぼありません。小日向文世さんと小林隆さんのラストシーンが、無言の中に込められた二人のお互いに対する感情をひしひしと感じられてとても印象的。
※『国民の映画』感想はこちら
新しい分野へチャレンジ!文楽『其礼成心中』
【あらすじ】近松門左衛門の『曽根崎心中』がヒットしたために、曽根崎界隈で心中ブームが起きてしまい、曽根崎の天神の森のはずれで饅頭屋を営む半兵衛の商売は「縁起の悪い饅頭」と言われてさっぱり。
そこで半兵衛はこれ以上曽根崎で心中はさせまいと、天神の森を夜な夜なパトロール。ある夜、心中しようとしていたカップルに出会った半兵衛は、妻のおかつとともに心中を思いとどまらせようと説得するのだが・・・
ミュージカル(『オケピ!』)、歌舞伎(『決闘!高田馬場』)と、以前から新しいジャンルに挑戦されている三谷さんですが、人が演じる演劇という枠を超えた文楽作品は、三谷さんのチャレンジ意欲を表す作品と思います。
三谷さんだからこそできる文楽といいましょうか、三谷作品らしいハートウォーミングなコメディで、文楽初心者が文楽の魅力を感じることができる作品と思います。
※『其礼成心中』感想はこちら
松本幸四郎(当時は市川染五郎)さん主演。市川猿之助(当時は亀治郎)さんも重要な役どころです。
※『決闘!高田馬場』感想はこちら
オケピ!The Orchestra Pit 2003
※『オケピ! 2003』 感想はこちら
いかがでしたでしょうか。三谷作品の舞台DVDは、他にも色々出ています。映画やTV作品だけでなく、ぜひ舞台もご覧になってみてはいかがでしょうか。
また、三谷幸喜 カテゴリーの記事一覧 - 三谷幸喜作品と本の虫★あんのよしなしごと
では、様々な三谷作品の感想を書いていますので、こちらもご参考にしていただければと思います。
【ご参考:他の三谷作品の舞台DVD】
ショウ・マスト・ゴー・オン 幕を下ろすな
東京サンシャインボーイズの罠
ラヂオの時間
東京サンシャインボーイズ時代の舞台がDVD化!
渡辺謙さんが、ピアノの調律師役です。
なにわバタフライ
戸田恵子さんの一人芝居。
中井貴一さんと戸田恵子さんの二人芝居。
恐れを知らぬ川上音二郎一座
市村正親さん、浅野和之さん、戸田恵子さんの三人芝居
12人の優しい日本人
彦馬がゆく
小日向文世さん主演。可愛らしく誠実な役柄です。
ヴァンプショウ [DVD] | PARCO STAGE SHOP
※ご参考までに、下記のPARCO STAGE SHOPでDVDが販売されている作品もあります。