三谷幸喜作品と本の虫★あんのよしなしごと

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三谷かぶき『月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと) 風雲児たち』感想

原作 みなもと太郎「風雲児たち」
作・演出 三谷幸喜

歌舞伎座にて観劇

 【あらすじ】

船頭の大黒屋光太夫ら17人を乗せた神昌丸は、伊勢を出発し江戸へ向かう途中で遭難し、ロシアのアリューシャン列島にあるアムチトカ島に流れ着く。
ロシアでの厳しい生活の中で、一人また一人と病に倒れ仲間が減っていくなか、光太夫らは日本に帰りたい一心でロシアの地を転々とし、ついに女帝エカテリーナに謁見する機会を得て帰国の許可を願い出る。

 

三谷さんの歌舞伎は『決闘!高田馬場』に次いで2作目。

以下、ネタバレ注意です。

 

冒頭、尾上松也さんがスーツに眼鏡姿で登場した前振り、観客とのコミュニケーションもしながら場を温めてスッと物語の世界に誘導してくれました。

第1幕は流れ着いたアムチトカ島での厳しい暮らしが描かれ、
第2幕では帰国への道を自らつかむべくロシアの地を犬ぞりで駆け抜け、
第3幕でついに女帝エカテリーナに謁見する。

厳しい生活を描く第1幕から、疾走感ある犬ぞりのシーンが見どころの第2幕、絢爛豪華な第3幕と変化が大きく目にも楽しい舞台でした。

また松本幸四郎さん演じる光太夫が、松本白鸚さん演じる経験豊富な船親司に背中を押されて徐々に強いリーダーシップを発揮していくところや、松本染五郎さん演じる磯吉が最初頼りなかったのに徐々にロシア語を覚え一行の中で重要な役割を果たす頼もしい存在になっていくところなど、白鸚さん・幸四郎さん・染五郎さん三代の関係性も重なって二重の感慨深さがありました。

市川猿之助さん、片岡愛之助さんはさすがの存在感。それぞれが我が道を行くキャラクターのようでいて、光太夫を慕い仲間を想う愛情の強さが、後の別れの場面の痛切をより際立たせていました。

白鸚さんのポチョムキンの洋装姿はもうご褒美ですね。
そして染五郎さんのキリっとした美少年ぶりは遠目でもわかります。

そして・・・歌舞伎初挑戦の八嶋智人さん。ロシア人の役ということもあり歌舞伎らしい所作はほぼなかったと思いますが、見得を切るシーンがありまして。
なんでも三谷さんから「トリビ屋(※)」という屋号をつけられたそうですが、
私が観劇した日は残念ながら掛け声はありませんでした。
※八嶋さんが司会をしていたTV番組『トリビアの泉』にちなんで。

私は歌舞伎は数回しか観たことがないので、例えば「これは歌舞伎らしいのか?」みたいなところはわかりません。でも役者さんが生き生きとこの新しい作品を創っていることが伝わってきて、歌舞伎の懐の深さを感じました。