戦後の世相の大転換のなか、坂口安吾は、日本が進むべき方向を見定めるためには、「正しく堕ちきる」ことだと論じています。
「堕ちる」はすなわち、人間の本能に素直に従うこと。
堕ちきることで、自分自身を発見し、自分自身を救う道を見つけられる、と。
人間にとって本能のままに「のみ」生きることは苦難であり、地獄。人間は、永遠に堕ちきることができるほど強くはない。
だから人間は、本能のままに生きることから自らを救う「ルール、制度」を作る。
しかしそのルールや制度が、大義名分や美徳といった、表面的な対策ではなく本質的なものであるためには、「正しく堕ちきる」ことが必要だと。
本当に自分に必要なものは何なのか。本当に社会にとって必要なものは何なのか。
頭で考えるのではなく、自分の本能に聞いてみる。
それは個人だけでなく、組織や、日本という国にも当てはまる、と。
今また多くの人に読まれるべきだと思いました。