あんのよしなしごと

三谷幸喜さんの作品の感想、本の感想、映像作品や音楽の感想などをつづったブログです。

映画『にがくてあまい』感想

川口春奈さん、林遣都さん主演、2016年公開の映画『にがくてあまい』。

にがくてあまい [Blu-ray]

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なぜ今、この映画かと言いますと、林遣都さん目当てです。

なぜ今、林遣都さんなのかと言いますと、察しの良い方はお気づきかと思いますが、ドラマ『おっさんずラブ』で描かれた春田と牧のあまりにもまっすぐで純粋な恋にほだされ、あたかも彼らが実在するのではと錯覚するほどの田中圭さん、林遣都さんの演技力に感服し、お二人の作品を色々見てみようかと思い立ちまして。
※三谷幸喜作品好きとしてはお二人がそれぞれ『江戸は燃えているか』『子供の事情』と最近の三谷作品に出演されていたのが嬉しかったりして。

 

で、本作。Amazonプライム・ビデオで会員特典ですぐ観れます。

 

丁寧に作られた美味しい野菜料理をじっくり味わっているような優しい可愛らしい作品でした。

主人公のマキ(川口春奈さん)が一目惚れした勢いで同居を迫った渚(林遣都さん)は実はゲイ。
二人は恋人ではないし、友達ともちょっと違うけれどお互いを必要としあうような、不思議な距離感。
そんな二人がお互いの『にがい記憶』をどう『あまさ』に変えていくか。そして二人の関係は。。。

 

一人だと苦しくて勇気が出なくても、誰かと一緒なら乗り越えられることってあるんじゃない?
そんなことを思いました。

 

渚が作る料理の美味しそうなことといったら。料理上手な美青年って最強ですよね。

眼福でした。

 

 ▼林遣都さん出演舞台

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 ▼田中圭さん出演舞台

※2018年7月28日にWOWOWで放送あるようです。

WOWOWオンライン

anno-yoshinashi.hatenablog.jp

 

「黒井戸殺し」感想

 

黒井戸殺し Blu-ray

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三谷×クリスティー といえば、『オリエント急行殺人事件』に次ぐ第2弾。

 

野村萬斎さん演じる名探偵ポワロならぬ、勝呂武尊が再びやってきました。

原作未読で、関連情報も見ずに、先入観なしで観ました。
(というか、このドラマの存在を直前に偶然知ったので予習する暇もなく。。。)

 

勝呂演じる萬斎さんは、安定感抜群。独特の話し方が、最初はちょっと気にならなくもなかったのですが時間とともに全く気にならなくなり、むしろ難事件を解決してしまう異能の人として際立たせるための必然だとすら思いました。

 

そして何といっても、大泉洋さん、素晴らしい!!
決して大げさな演技をするわけでもなく、喜怒哀楽も抑えめなのに、身体から発せられるオーラ、感情の起伏のようなものがしっかり伝わってきて、凄みがありました。思わず鳥肌。

 

また、斉藤由貴さんが果たすアクセントがとても良かったです。なんでも首を突っ込みたがり、文字通り可愛らしい女性、でも一瞬背後に何かを秘めているような雰囲気を醸してミステリーの登場人物として完璧と思います。
(斉藤由貴さん演じる柴医師のお姉さんは実は真相を全て知っていたのでは?というツイートも見かけ、そういう見方もできるかも!と思わされるほど含みのある演技だったと思います)

 

そうそう、忘れてはいけない三谷さんの脚本。原作未読の身としてはどれくらい三谷さんが脚色していたのかはわからないのですが、どのシーンも目が離せず、3時間があっという間でした。

今回出演の役者さんの多くが大河『真田丸』出演者だったこともあり、先日の『風雲児たち』に続いて真田丸同窓会的な見方もできて楽しかったです。


野村萬斎さんと大泉洋さんの共演といえば、三谷幸喜さん作・演出の舞台『ベッジ・パードン』もあります。DVDにはなっていませんが、WOWOWで放映されることもあるようです。

WOWOWオンライン

 

 ▼三谷×アガサクリスティー作品

オリエント急行殺人事件 ブルーレイBOX [Blu-ray]

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 ▼三谷さん大河ドラマ。大泉洋さんはじめ、「黒井戸殺し」出演の多くの方が出演されています

真田丸 完全版 第壱集 [Blu-ray]

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2017年に面白く観たアニメ

2017年は、私にとってアニメ元年でした。

Amazon prime会員になったのを機に、Amazon videoの多くのコンテンツが無料で観られるようになり、『ユーリ!!! on ICE』にはまってしまったのは前述の通り。その後、スマホやタブレットじゃなく大画面で寝転がりながらでも観られるようにと、Amazon Fire TV stickまで買ってしまいました。どれだけAmazonにお金使ってるんだ、私。。。

そういうわけで、「アニメを観る」ことが、余暇の一つとして定着しました。

とはいえ色々つまみ食いして観ていると、結構自分のストライクゾーンが小さいことに気づき、ちゃんと観た作品は少ないです。

自分の覚えも兼ねて、面白く観た作品を書いておこうと思います。

絶園のテンペスト

2012年くらいの作品。魔法使い的なファンタジー物だけど、物語の軸はミステリー。戦闘でも心理戦を展開したり、登場人物がそれぞれ敵なのか味方なのかわかりにくかったりとずっとハラハラしながら楽しめました。主人公の少年二人を『ユーリ!!!』の二人のユーリの声優さんが演じられていて、それがユーリ!!!と真逆のキャラなので声優さんの演技も興味深かったです。 

絶園のテンペスト 1(完全生産限定版) [Blu-ray]

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Re:CREATORS(レクリエイターズ)

小説やアニメなどフィクションの世界の人物が現実世界にやってきて、現実世界を壊す、守る で戦う物語。フィクションの作者と登場人物が現実世界で出会い、作者はどんな気持ちで物語を紡ぎ、登場人物たちは作者によって決められた道筋や、それを作った作者についてどう思っているのかなどが語られるのも面白い。物語る力は捨てたもんじゃない。 

Re:CREATORS 1(完全生産限定版) [Blu-ray]

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ボールルームへようこそ

今回挙げた中では一番面白かったです。
冴えない男子中学生が、ひょんなことから社交ダンス(競技ダンス)に出会い、師匠やライバルたちと切磋琢磨しながら成長する物語。ユーリ!!!もそうだけど、芸術性のある身体表現に魅せられます。またカップル競技だからこそ、パートナーとの関係性をどう構築していくのかの過程がすごく丁寧に描かれていて、というかむしろ後半はそれが主題になっていて、ついに完成形を見たときはとても感動しました。

TVアニメ「ボールルームへようこそ」第1巻【Blu-ray】

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anno-yoshinashi.hatenablog.jp

 



 

2018年 NHK正月時代劇「風雲児たち~蘭学革命篇~」感想

何人かが集まって一つのものを作り上げる物語は、どうしてこうもグッとくるのでしょう。

オランダの医学書「ターヘル・アナトミア」に出会った前野良沢と杉田玄白が西洋に比べて遅れている日本の医学の進歩のためだという目的のもと、翻訳を決意。

辞書もほぼないという環境で、メンバーが力を合わせて言葉の意味を推察しながらの翻訳過程は、何もないところからモノが目に見えて出来上がっていく一番楽しい時間。

形が見えてからの良沢と玄白の行動の違いがとても興味深いものでした。

良沢は職人肌で完璧を求め、翻訳の質を上げることに没頭する。

玄白はプロデューサータイプで、世に出すことを重視し、そのために奔走する。

ものづくり(サービスやコトづくりも含めて)の現場では「QCD(Quality=品質、Cost=費用、Delivery=納期)」と言われるけれども、ベストなQCDを見極めるのはとても難しい。

時として、(最低限必要な品質は満たしている前提で)品質はそれほど高くなくても、世に出るタイミングが絶妙だったがゆえに社会を大きく変えるようなものがある。

杉田玄白にとって解体新書は「出す時期」が重要と考えたのだと思います。

一方、前野良沢は出す時期よりも品質を重要視。
それが後世から誤りを指摘され名を汚されることを嫌ったというような理由かどうかはさておき、ものづくりはキリがないのも事実。

もっとこうしたら良くなる、もっと、もっと手をかけたい、となる。

それを「納期」でバッサリ切ってもらうことで、作り手は後ろ髪をひかれながらも世に放つ。

ものづくりって、そういうところがあるよな、と、妙に日頃の現実も重ね合わせながら観ていました。

前野良沢と杉田玄白のギリギリのせめぎ合いが、結果として世に出す時期も逃さず、かつ品質も高めて、歴史を変える結果となったのだけど、著者として名を残すかどうかのやり取りには、心が締め付けられました。

名を残す意味とは

そんなことも考えてしまいました。

名をなさずとも自分の仕事を誰かに認めてもらえれば充分と考える良沢は、謙虚でもあるけれども、玄白が言うように、仕事にケチがつくことで名を汚されたくないという見方をすればとてもプライドが高いですよね。

けれども歴史は、名が残った人達だけで作られるのではなく、名前が残らない色々な人の直接的、間接的なかかわりの中で、積み重なって作られていく。

このエピソードから、そんな歴史の積み重ねに想いを馳せました。

「真田丸」生まれ変わりスピンオフ?

生まれ変わって現れたみたいで、つい真田丸での役柄も思い出されてしまいました。
刑部の良沢は相変わらず真面目だし、秀次の玄白は相変わらずちょっと能天気なところがあるし。直江兼続は相変わらず上司?に振り回されるし、三十郎はのほほんとしているし。

一瞬しか出てこない人物でも、あの人、この人と次々に懐かしい顔が。真田丸を楽しみに見ていたあの一年間も思い起こされ、真田丸ファンならではの楽しみもありました。

「子供の事情」感想

長らく本ブログをほったらかしにしてしまいまいたが、ぼちぼちまた書いていくことにします。

三谷さんの「子供の事情」、チケットを取れなったので、WOWOW観劇しました。

作・演出:三谷幸喜
出演:天海祐希 大泉洋 吉田羊 小池栄子 林遣都 青木さやか 小手伸也 春海四方 浅野和之 伊藤蘭

【あらすじ】
三谷幸喜作・演出のステージ。天海祐希、大泉洋ら豪華キャストが、それぞれの“事情”を抱える小学4年生の少年少女を演じた、歌あり踊りありの心温まる傑作コメディ。
(WOWOWの番組サイトより)

 

大人から見れば、小学4年生は子どもでしかない。

でも、当の小学4年生たちだって、身の回りに起こる様々な出来事に向き合って、考えている。

結果として現れる行動は、悪だくみあっても正義感あるものであっても、やっぱり大人から見れば子どもらしく、可愛らしい。

これまでの三谷作品は、次々に起こる出来事に何とかしようと行動する大人たちの必死さが笑いを生んでいたけれど、この作品は必死に行動するのは子どもたち(演じているのは大人ですけれども)。
子どもたちの必死さは、微笑ましさと、こんな子小学校のクラスにいたなというノスタルジィを生んでいました。

 

公演サイト
http://www.siscompany.com/kodomo/gai.htm