第130回(2003年)芥川賞受賞作品。 ★★
最年少で芥川賞受賞ということで話題になったが、文体こそ10代らしいと思ったけれど、作者自身の「10代」という年代に対する客観的で冷静な視線にうならされた。
中学校や高校は、ある種閉じられた空間。
そこに通う生徒の世界は、学校が全てだったりする。
だから、その唯一の世界で孤立してしまうことを恐れ、笑顔を取り繕い、誰かと群れる。
そんな群れから外れた少女は、やはり群れから外れた少年に関わることで(たとえそれが一方通行であったとしても)、もうひとつの世界を作る。
私もかつて少しは感じた、あの独特の息苦しさを思い出した。
「学校」という世界のほかにも、たくさんの世界があるということに気がついた時、あの息苦しさから解放された。
本作品を読んで、それが10代の1つの試練なのかもしれないと思わされた。