あんのよしなしごと

三谷幸喜さんの作品の感想、本の感想、映像作品や音楽の感想などをつづったブログです。

テレビ番組、捨てがたし

最近あまり見てよかったと思うようなテレビ番組がないな。。。と思っていたのですが、年始に2つ、心に響いた番組がありました。

1つ目は、1月2日、NHKプロフェッショナル 仕事の流儀 イチロースペシャル」
(http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/080102/index.html)、
2つ目は、1月8日 BSフジの「J-Art」という番組(http://www.bsfuji.tv/j-art/)
オペラ歌手の鈴木慶江さんゲストの回です。

「プロフェッショナル」は、
あのイチロー選手が、ずっと重圧に苦しんできたことに衝撃を受けました。
オリックス時代の「マスコミ嫌い」などと揶揄された"とんがり"ぶり、メジャーリーグ移籍後もクールな印象だったけれど、実はそれが周囲からの重圧に押しつぶされないために必死で自分を守っていた姿だったとは・・・。はたから見ると、そこまで自分を追い込まなくても、十分やっていけそうな気がするのに、やはりどんなすごい人でも、そのすごいレベルの中での苦悩があるのでしょう。

ヒットが出るまでの間は、重圧で貧血、動悸、吐き気に襲われたそうです。
イチロー選手ほどの人でも、そういう状態になるのだということに、救われた気がしました。

そしてイチロー選手は2007年シーズンでは、重圧と正面から向き合う決意をしたそうです。惜しくも首位打者を逃したけれど、重圧と正面から向き合った結果としてのこの好成績はすばらしいです。これまでの苦悩を話せるのも、この決意があったからでしょう。

「J-Art」では、鈴木慶江さんが自身の話として、

「好きな歌を歌うというのではなく仕事として歌うようになったとき、"完璧な歌"を歌おうとして技術の習得に励んだ。

確かに技術は得たが、ある時、歌の先生から"あなたの歌はどこへ行ったの?"といわれてハッとした。自分でこう歌うべきという歌と、周囲が自分に求める歌のギャップを感じ、悩んだ。

でもあるとき、"それぞれの歌に対する拍手の大きさで順位をつける大会"に参加した際、派手な曲、テクニックをアピールできる曲を歌う歌手が多い中で、ともすれば地味な曲であったが自分なりに歌ったら、一位となり、自分はこう歌えばいいんだ、というものがわかった」

という話をされていました。

芸術の世界と他の仕事の世界とは違うかもしれないけれど、一般化した「こうあるべき」というものを追求するのではなく、「私らしさ」を追及していくことで、道が開けていくのではないかという気がしました。