絲山さんが描く女性は、強いけれど危うい
車が好きで、急に連絡をよこした昔の恋人がTVR Tuscanに乗っていると聞いたら、車目当てで会ってしまうような女性。
乗りたいと思う憧れの車はあるけれど、自分の身の丈に合った車を大切にしている。
それはまさに、先日読んだ長嶋有さんの『愛のようだ』でグッときた「好きな車がある女性」のようで、格好いい。
でも絲山さんが描く女性は、そういう格好良さに加えて、ずるずると昔の恋人の誘いを断りきれず関係を持ってしまうような危うさもある。
そういう女性のどうしようもなさをひっくるめて、なぜか惹かれてしまうのが絲山作品です。
ちなみに、本作の主人公の名前は『イッツ・オンリー・トーク』の主人公と同じ。本作の方が後のようなので『イッツ・・・』の続編ともいえるかもしれません。