【あらすじ】
織田信長の猛攻。
武田勝頼は新府を捨てた。
岩殿城に逃げるが、裏切りにあう。
一方、信繁たちは、父の待つ岩櫃城を目指すが、野盗の群れが行く手を阻んでいた。
(大河ドラマ「真田丸」第2回冒頭より)
ああ、勝頼様・・・。
「ためらうな!」
野盗に襲われ斬ることを一瞬躊躇した信繁に、兄・信幸は「ためらうな!お前のためではない、一族のためだ!」と一喝。
今のところ、「真田の家を守る」という気持ちの強さは、信幸の方が上ですね。
実直な信幸がとてもいいです。
さてこの実直な信幸が、真面目なのかふざけてるのかわからない父・昌幸の言動に戸惑うところが一つの笑いどころになっていますね。今回の「上杉か、北条かのくじ引き」のシーンなどまさにそう。
でもこのシーンが可笑しくなるのは、「真田が上杉か北条かどちらに仕えるのかをくじ引きで決めよう」という、突拍子もない父の提案に真面目に応えようとする信幸の真剣さがあってこそ。これをしっかり笑えるシーンにする、大泉洋さんの演技が素晴らしいと思います。
そして、昌幸の、一族の運命がかかった決断はとても重い。
何が正しいかなんて全く分からない。まさに、くじ引きで決めるようなもの。
恥ずかしながら私はこのあたりの歴史に疎く、真田家が武田家が滅んだあとどうするのか知らなかったので、「上杉か、北条か」と言っていた昌幸が考えた末に「織田につく!」と宣言したとき、信幸、信繁と同じように口をあんぐり。
策略家・昌幸の大決断ですね。
生き残る者、滅びる者を分けるのは何か
「武田が滅びたはめでたいことじゃが、ちっとも嬉しゅうないのは何故だ!」
今回は、徳川家康のこの言葉も印象的でした。
武田信玄がいたころの武田家は強く、滅びるなんて思いもしなかった。
息子の武田勝頼だって決して愚鈍ではなく、武勇には秀でていた。
それでも武田は滅んだ。
生き残るもの、滅びる者を分けるのは何なのか。
それがわからない時代なれば、自分だって、いつ滅んでもおかしくない。
ただ、生きのびられればいい。
結果論として徳川家康は250年続く江戸幕府を開いたけれど、そんな家康にとっても当時は何がどう転ぶかわからない時代だったということがよくわかります。
気が休まる時のない「戦国時代のドラマ」での緩急
主人公の子ども時代がなく、いきなり主君滅亡という危機から始まった今回の大河ドラマ。
いつもなら、最初の数回は嵐の前の静けさとも言えるような、微笑ましい主人公の子ども時代のエピソードがあるのでしょうが、今回はそれがありません。
三谷さんの前回の大河ドラマ「新選組!」でも、最初の頃は近藤勇らの多摩の道場でのほのぼのとした時代が描かれ、後の京都時代とのコントラストをなしていました。
今回は初めから緊迫した状況なので、観ているほうもハラハラドキドキ。
そんななか、母・薫ののん気な言動や、昌幸、信幸、信繁親子三人のちょっと笑ってしまうようなシーンがあることで、息を詰めてみている視聴者にちょっと気を緩めてもらい、観ていて疲れないようにする効果があるのかなと思いました。
また、1回の中で緩急がつくことで、より一層「急」の部分がドラマチックになるように思います。
「新選組!」のように1年かけて緩→急とするのではなく、小さく緩急をつけながら1年かけて盛り上げていく。
視聴者を最初から惹きつけ、飽きさせない工夫かもしれません。