今年(2018年)の春ドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系 2018/4/21-2018/6/2 土曜23:15-、全7回)。
最終回から4ヶ月経つというのに、ファン(OL民)の熱は冷めず、主演の田中圭さんは大ブレイク。
私も放送当時3話から見始めてすっかりはまり、公式ブック、サントラ、シナリオブック、Blu-ray BOXと、コンプリート。ドラマにこんなにはまった自分に驚いています。
このドラマそのものの魅力については様々なところで論じられ語られているので、ちょっと違う観点からこのドラマについて書いてみたいと思います。
それは、ものづくりの熱量について。
『おっさんずラブ』について出演者やプロデューサー、監督、脚本家などの方々が語っていた言葉からひしひしと感じたのは、「おっさん同士の恋愛」という表面的なキャッチーさを超えて「王道のラブストーリー」を作ろうという熱量。
俳優さんたちは、人を好きになる気持ちや届かない想い、切なさ苦しさ愛しさを言葉で、表情で、体の動きで表して、あたかもドラマ上の人物が本当にいるかのように役を生きて。
その土台には、その世界観を作り、高いクォリティで映像として形にするスタッフの方々がいて。
その熱量は決して自己満足のためではなくて、「作品にかける俳優、スタッフの真剣な熱い思いは、受け取る視聴者にちゃんと伝わる」という信念に基づいていて。
私たち視聴者は、きっとその形の見えない作り手の熱量を受け取ったことで、おっさんずラブの世界に没頭できたのだと思います。
唐突ですが、普段私はものづくりに関わる仕事をしています(業種はドラマ関係とは全く違いますが)。
少し前からよく言われるのは「いいものを作れば売れる、という時代は終わった」ということ。ものが溢れる時代だから「売るために人々に伝える努力、仕掛け」が大事である、と。
そのことに異論はないし、SNSなど「人に伝えるツール」が多様化しているから、コミュニケーション戦略はとても重要。
『おっさんずラブ』だって、巧みなSNS発信やファンの想いを汲み取るコミュニケーションなど、売るための努力、仕掛けもあっての盛り上がりだと思います。その手法もとても勉強になりました。
ただ『おっさんずラブ』にかける作り手の皆さんの熱量を前にして自分自身に問うたのは、「売るための仕掛け」ばかりに目がいって、自分は肝心のものづくりが疎かになっていないか?ということ。
いいものを作るだけでは売れないのは確かだろうけど、いいものを真剣に、熱量をもって作ることで、受け取り手に伝わるものは、きっと大きい。
『おっさんずラブ』に込められたものづくりの熱量が、いち視聴者である私にしっかり届いたように、自分のものづくりの仕事でも、ちゃんと熱量を込めれば、受け取るお客様に伝わるものがあるかもしれない。
ドラマにキュンキュンしながら、そんなことも考えました。
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