三谷映画には、長回しや1シーン1カットなど、舞台脚本家ならではの手法が多く取り入れられているように思います。また近作はセットがとても凝っていて、リアリティとフィクションの絶妙な取り合わせがステキです。
◆ザ・マジックアワー
【あらすじ】
ギャングのボス(西田敏行)の愛人に手を出してしまった男・備後(妻夫木聡)。
ボスに命を見逃してもらうために"伝説の殺し屋・デラ富樫"をつれてこなければならなかったが、見つからない。
そこで備後は売れない俳優・村田(佐藤浩市)を「デラ富樫」という役の主演映画の撮影だといって騙して連れてきて、なんとか乗り切ろうとするが。。。
三谷幸喜監督作品4作目。
「現実として存在しているボス」と、「映画の撮影という虚構の姿として存在している村田」のやりとりが面白い。ヨーロッパ風の街のセットが、現実と虚構の両立を支えています。
俳優さん達の魅力が満載。特に村田役の佐藤浩市さんが最高。
三谷シチュエーションコメディの構造を映画にもってきた、一つの完成形ではないかと思います。
◆清須会議
【あらすじ】
本能寺の変で命を落とした織田信長。信長の嫡男・信忠も討たれてしまった。
そこで織田家の後継者を決めるべく、家臣4人が清須城に集まって会議を開いた。
信長の三男・信孝を推す柴田勝家と、信長の次男・信雄を推す羽柴秀吉陣営による会議での戦いの決着はいかに。
三谷幸喜監督作品6作目。
根回し、心理戦で会議の流れが変わっていくのが面白いです。
戦国時代を題材にしながらも合戦ではなく会議でもこれだけドラマチックに描けるんだと興味深かったです。
コメディ色はあまりなく、かといって重厚でもないけれど、見応えありました。
◆ラヂオの時間
【あらすじ】
素人の主婦が応募した脚本が生放送のラジオドラマになることに。
しかし生放送が迫る現場では、主演女優が急遽脚本内容を変えたいと言い出して・・・
三谷幸喜監督初作品。
もとは、1993年に上演された、三谷さん主宰の劇団東京サンシャインボーイズの演劇作品。
次から次へとトラブルが発生するけれどもショー・マスト・ゴーオン。
三谷さんの舞台的なストーリーをそのまま映像にした感じです。
三谷映画はここからはじまったんだと思うと、続く作品での映画としての変化がよくわかるように思えます。
また、唐沢寿明さん、鈴木京香さん、(カメオ出演的ですが)渡辺謙さんなどが出演。
その他の三谷幸喜監督作品