あんのよしなしごと

三谷幸喜さんの作品の感想、本の感想、映像作品や音楽の感想などをつづったブログです。

シャーロック・ホームズ 「ボヘミアの醜聞」 三谷版人形劇とグラナダTV版の比較

三谷幸喜版の人形劇「シャーロック・ホームズ」については、以前三谷幸喜×学園ミステリー『シャーロック・ホームズ』 3話を見て のエントリで触れた際に、原作を知っていたらもっと楽しめるのでは・・・と書きました。

そこで、(原作そのものじゃないけれど)英国グラナダTVが製作し、日本でもNHKで放送された『シャーロック・ホームズの冒険』第一話、「ボヘミアの醜聞」を見てみました。

 

シャーロック・ホームズの冒険[完全版] DVD-SET1

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 すると、三谷版人形劇はうまいこと学園ものに置き換えていることがわかりました。

  • ボヘミア国王→校長先生
  • 歌手アイリーン・アドラーは、保健室の先生
  • アイリーンの恋人ノートンは、美術の先生

という登場人物の設定もなるほどと思います。

また、ボヘミア国王の依頼でボヘミア国王とアイリーンが一緒に撮った写真をアイリーンから取り戻す、というストーリーはそのまま。

ホームズが写真のありかを「アイリーン本人に教えてもらう」ともくろみ、ワトソンに芝居の火事騒ぎを起こさせて、でもそれがアイリーンに芝居だと見抜かれ、アイリーンに一本取られるところも同じ。

ホームズにとってアイリーンが尊敬をこめて「あの人」と呼ぶただ一人の女性である、という点も。

ですが、特に手が込んでるなと思ったのは、グラナダTV版でアイリーンと恋人ノートンがひそかに結婚式を挙げる場面。

グラナダTV版では、ひそかに教会に駆け付けた二人は結婚の保証人を同行しておらず、そのために神父より結婚が成立しないといわれて焦った二人だが、変装して二人の後を追っていたホームズに彼と気づかずに結婚の保証人になってもらうことで結婚が成立したエピソードがありました。

三谷版人形劇では、アイリーンとノートンが保健室で「校長先生の似顔絵対決」をしていて、アイリーンの動向を探るため仮病で保健室で寝ていたホームズが、どちらの似顔絵が似ているかを判定する羽目に。

どちらも、アイリーンとノートンの二人だけで完結せず、ホームズがいないと成立しなかった出来事になっています。

そんな細部まで気を配っているとしたら、これからの三谷版人形劇を見るにあたっては、ぜひ原作の予習をしたいと思った次第です。

 

 

三谷幸喜×学園ミステリー『シャーロック・ホームズ』 3話を見て

三谷幸喜×学園ミステリー『シャーロック・ホームズ』とは・・・

三谷幸喜が自ら愛してやまないイギリスの古典、『シャーロック・ホームズ』を、痛快ミステリー学園ドラマとして斬新に脚本化。物語を通して、少年ホームズとワトソンの友情と成長の軌跡を描きます。

(NHKホームページ http://www.nhk.or.jp/sh15/ より)

三夜連続放送を見ました。
『最初の冒険・前編 ~「緋色の研究」より~』
『最初の冒険・後編 ~「緋色の研究」より~』
『困った校長先生の冒険 ~「ボヘミヤの醜聞」より~』

三谷さんの前回の人形劇「新・三銃士」や文楽「其礼成心中」を見たときも思いましたが、人形なのに、なんでこんなに表情豊かなんだろうと感心します。
人形であることを忘れてしまうほど。

新・三銃士と人形のデザインさんが同じなので人形のテイストが似ており、最初は新・三銃士のテーマ曲が頭の中を流れていきました。

・・・が、プロジェクションマッピング風のオープニングが曲と相まってとても格好良く、少年シャーロック・ホームズのいる学園の世界へ。

ナイーブな少年シャーロックを三谷さん曰く「ナイーブでも少年でもない山寺宏一さん」が演じていますが、いやいやどうして、このシャーロックは本当にナイーブで、大人びていて、でも少年らしい可愛らしさもあり魅力的。
吹き戻しをピーピーやっている姿が可愛い。

おそらく三谷さんのことだから、原作ネタをあちこちにちりばめていることと思うのですが、残念ながら私はシャーロック・ホームズの話をほとんど知らないので、純粋にこの人形劇における少年シャーロック・ホームズの物語を楽しんでいます。

でも原作を知っていたら、ここでこのネタが来るか!みたいな楽しみがあったのではと思います。

また、三谷さんがどういう物語を、学園の食中毒事件や校長先生の困った話に置き換えたのかも興味がわくところ。原作を読みたくなりました。

ゲスト声優の方々も、ご本人の印象はなく、役そのものになっていて、すごいと思いました。妻夫木さんはどの役をやってたのか、本編を見ただけではわかりませんでした。。。

次は8月ですが、楽しみです。

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関連して下記エントリも書いてます。

 

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「大空港2013」感想

脚本・演出 三谷幸喜
出演 竹内結子 生瀬勝久 戸田恵梨香 池松壮亮 梶原善 青木さやか 石橋杏奈
   綾田俊樹 甲本雅裕 神野三鈴 オダギリジョー 香川照之

WOWOW放送

「Short Cut」につづく、完全1シーン1カットのドラマ。

【あらすじ】
飛行機が天候不良により松本空港緊急着陸。空港職員の大河内は乗客を案内することになった。降り立った乗客には、なにやら訳ありの家族がいて・・・?

これだけ大人数が出演し、大きな空間を縦横無尽に動き回るドラマを、120分間1シーン1カットで破たんなく成立させる緻密さに驚きました!

そして、緊急着陸して空港で時間を過ごすことになったとある家族の秘密が、職員の大河内が絡んでいくことで徐々に明らかになっていく過程も面白く
息をつかせぬ展開で、あっという間でした。

前作「Short Cut」あってこそのチャレンジだと思うので、三谷さんは着実に進化しているなと思いました。

 

 

「ソーシャルネットワーク」

見てきました。以下、ネタバレ注意です。






IT起業を題材とした人間関係の話。facebookをベースにしてるのが効いていたように思います。

自分は認められて当然という気持ち、劣等感、自己顕示欲、それらのあまり他人をないがしろにし、ひたすら大きくなることだけに集中する。そしてそこに群がる、金儲けしたい人々。

少数の圧倒的勝者と大多数の敗者の現代社会は、努力は報われず紳士はバカを見て、圧倒的能力と人を蹴落とす人間が勝者となる。勝者はそうしていくうちに孤独になる。

誰も幸せになれないのに、世の中はそれを増長する方向に動いてる。。